【目次】
・総括 by マツタケ所長
・Builder's Report byなし
・Builder's Report by松原
総括 byマツタケ所長
JBF2024 JT-LUGとして今年も出展しました。松原さんだけでなく、なしさんとひろどりさんも参加し、8幅のラージスケールばかりが走る特別な空間を演出しました。
松原さんのフランスの機関車+客車4両のTrans Europ Express(TEE)が悠々と走れるように、今回はテーブルの数を6卓から12卓に倍増させたうえで、フランス(アルザス)を舞台とするレイアウトを作りました。
切り欠きホームのある線を0番線とし、最内線のR88カーブを有した長い留置線となっており、フランスが舞台なので原則右側で走行すると都合の良い線路配置となっています。留置線には両渡り線にダブルスリップ機能がついたものを備え、長い編成でも柔軟に転線できるよう見た目と利便性を両立させています。
レイアウト全体を俯瞰。列車編成がゆとりを持って留置できるよう、昨年より操車場を拡大しています。
私はバラスト線路を全て用意し、駅もプラットホームを拡張した上で装飾をフランス国鉄SNCF仕様に変えました。菜の花も増やし、赤い花畑も新たに作りました。
松原さん、なしさんと針葉樹をたくさん植え、緑の多い風景になりました。なしさんの遊び心あるストラクチャのおかげでより楽しい演出ができました。ひろどりさんは新作12系客車を持ち込み、駅のミニフィグを用意してくれ、駅に活気を与えてくれました。
JBF2023でラージスケール車両を独占で走らせて以来「病みつき」になってしまったので、JBF2024では規模と内容共に拡大したいと思っていました。極端なことを言うと、飽きるくらい走らせたい!!と。勘違いしてほしくないのですが、6幅トレインを排除したいとかそういう思いは全くなく、(筆者は6幅ビルダー)、ラージスケール車が独占で走れる環境は現状かなり少ないため、そのような機会を作りたいという思いがありました。
松原さんの新作フランス形車両だけでなく、なしさんの貨物列車シリーズ、そしてひろどりさんの新作12系のお披露目をしてもらうことで、ラージスケールが絶えず走り続け、留置線もラージスケールで溢れるような環境を作ることができました。(本当はサトさんのトワイライトエクスプレスやiLさんの北海道シリーズも走らせたかった…!! )
とあるアルザスの架空の街が舞台ということで、私のシティースケール作品であり、テーマと合致しているICE3(BR407)、TGV PSE(現行塗装)およびPatrick引退塗装を短時間ですが展開しました。ICE3はフランスに乗り入れるので今回はフランスの車両として扱っています。
テーブル上には私物は原則置かないよう配慮しテーブルの下の荷物も写真に写りづらいところに押し込み、見た目もすっきりした展示になったかと思います。ラージスケールの車両が、まるで6幅のシティスケール車のように快走するのを見ることができて感無量であります。
一つ反省点を挙げるとしたら、予備用の1/2直線を用意するのを忘れ、松原さんに持ってきてもらったくらいでしょうか。今回はやりたいことをやり切れた良い展示になったかと思います。さらに植物を増やし、駅も改良を重ね、今後もジオラマ作りに奔走したいところです。
文:マツタケ所長 2024年6月25日
Builder’s Report byなし
今回のJBF2024では、EF210 , EH200形電気機関車を持ち込み走行させました。貨物列車としては日本各地を走り回っている車両なので、反応も良いのではと思っていましたが、案の定特にちびっこからの認識が高かったのは嬉しい限りでした。
写真は側線で一休みするEF210
牽引する貨車としてコンテナ貨物列車を仕立ててきましたが、この貨車には海上輸送用コンテナを積み、なおかつその文字もシールや社外品を使わず全てレゴのパーツで再現した意欲作ではありました。遠目からだとシールみたいに見えるので、わざと低速で走らせたりして、しきりと暗にシールではないことを誇示したりもしました。
また今回は車両と共に複数のストラクチャーを持ち込み展開しました。
一つ目が信号所で、元々西洋風な作りだったため、マツバラさんのフランス車両との相性が素晴らしく、マツタケさんの花畑とも相まってかなりの密度に仕上がったのは幸運でした。
もう一つは駅のすぐそばに置いた針葉樹でこちらは今回のイベントに合わせて本数を増やし計30本を植樹。根本には、ひろどりさんの低木が立っています。
駅の周辺を彩るマツタケさんの花畑とともに駅周辺に欧州の地方駅の雰囲気を出せたかと思います。視覚的にもかなり華やいだ駅になったので改めて木や花等、自然のストラクチャーの偉大さを再認識させられましたね。特に駅を通過する車両や到着する車両を撮るとかなり絵になるので、お気に入りです。
さて今回の反省ですが、意外と針葉樹の本数が足りなくなったので、今後本数は大幅に増強していこうかと思います。今回のイベントに合わせ元々1両だったEF210形電気機関車を複製し、計2両に増やして対応しましたが、予想以上に走らせる機会が多く持ち込んだ電池が不足しがちになってしまったため、この辺りは要改善な所です。
文:なし 2024年6月25日Builder’s Report by松原
○ 全体として 関東在のマツタケ所長を筆頭に、なしさん、ひろどり君らが、事前に予行演習していたこともあり(関西在の筆者は遠方ゆえ、今回は参加できなかった)、二日間、大過なく事が進んだのは良かったと思う。心から、ありがとう! 彼らには、本当に感謝である。
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○今回出展した作品 『フランス国鉄TEE三部作』
1. TEE “L’Etoile du Nord” 1969 ver. 列車名は、フランス語で『北極星』の意。 パリ北(フランス)~ブリュッセル(ベルギー)~アムステルダム中央駅(オランダ)間約500キロを結んだ国際特急列車である。 編成内容は、SNCF CC40100形電気機関車1両とINOX PBA客車4両。 初出はJBF2019だが、今回は機関車、車両とも全面的な設計見直しを行い、改作を施した。改作後の公開は初である。 CC40100電気機関車は、2010年頃から繰り返し制作している題材の一つ。前面形状が複雑で、なかなかリアルに作ることが難しい車両の一つである。 今回5回目の改作で、ようやく満足のいく出来になった。 INOX PBA客車は、大きくは窓の周りを換装し、ラインカラーを赤から臙脂に変えた。その他諸々の改変の結果、一両の全長が58 studsから64 studsに増えた。全体的によりボリュームのある堂々たる編成となった。
2. TEE “Le Capitole” 1967ver. フランス語で『首都』の意。 パリ・オステルリッツ ~ リモージュ ~ トゥールーズ=マタビオ駅間約700キロを結んだ特急列車である。 編成内容は、SNCF BB9200形電気機関車1両とUIC “Capitole”専用客車4両。 初出は、JBF2023。昨年に引き続きの登場である。フランス人工業デザイナー、ポール・アルザン(Paul Arzens 1903~1990)が1967年に発表したデザインに準拠した。
3. TEE “L'Aquitaine” 1971ver. アキテーヌ("L'Aquitaine")は、かつてフランス南西部大西洋岸に存在した地域圏(『州』に相当すると考えられるフランス独自の行政区画)の名である。現在も地方名として残っている。文字通り、パリ・オステルリッツと旧アキテーヌ地域圏首府ボルドーを結んだ特急列車だ。 車両デザインは、ポール・アルザン。グランコンフォート("Grand Confort")と呼ばれる特急専用一等座席車で構成された列車で、カフェ・バー、レストランカーを備えた当時としては大変豪華な列車だった。 車両の軽量化と広い室内空間の確保を両立させるため、また計画として頓挫したが後々振り子式車輌に改良される予定であったため、断面が洋ナシ形、或いはダルマのように下膨れになっているのが特徴である。 今回の編成内容は、SNCF CC6500形電気機関車1両とグランコンフォート客車4両。 客車の内訳は、進行方向側から、 ・A4Dtux(電源・荷物・開放座席車) ・Restaurant Vru(食堂車) ・A3rtu(バー・カー) ・A8u(一等開放座席車) 昨年、この車両を新作として発表するつもりでいたが、独特の形状ため作品の強度維持が難しく、会場までの輸送途中で壊れ修復適わず終わってしまった。その悔しさをバネに、今回、設計を全面的に見直し、再制作に挑んだ。おかげで、いい出来となったのは言うまでもない。 なお、牽引機であるCC6500形電気機関車は、昨年 "Brick Train Awards 2023" 電気機関車部門で最優秀作品賞を受賞した。
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○ 一部ストラクチャについて 今回、ジオラマ用に山を制作、提供した。 出来る限りローコストでボリュームのあるもの、見せ場となるものを広範囲にわたり設置できないかという個人的な試みからだ。 一般に山を作る場合、基礎ブロックとスロープを組み合わせてそれらしい地形を作り、植栽を飾り付けて山にするのが定石だが、それでは莫大なコストがかかってしまう。 そこで、Technicアームで組んだアングルに基礎板を立てかけるだけの簡単な土台を考案し、これをベースにどこまで簡便にリアルなものが出来るのか試してみた。
果たして、試作品をぷっつけ本番で制作したが、試作品としての出来は悪くない。 手を加えなければならない部分が山ほどあり、作品と呼ぶには程遠い出来だが、課題がよく可視化されたのは収穫と言える。 植栽の針葉樹は自作である。その造形は、概ね海外のジオラマ作家がよく用いる手法に倣ったもので、そこに少しばかり手を加えたものだ。従って、完全にオリジナルとは言えない。今回、木は40本用意したが、存外に足りなかった。 最小限の装飾に留めたため、基礎板の均一な斜面が目立ち人工的な感じが払拭出来ていない。もっとも、そうした不自然さは、それらしいプレートやスロープ、灌木などを追加することで自ずと解消されるだろう。
応用次第だが、正しく拡張すればリアルな山とトンネルを制作することも夢ではないと感じた。 今回も、前回に引き続き架線柱を提供したが、今回、架線の架設は見送りとした。 前回、曲線区間の架設に当たり、支柱の位置決めに時間を要したこと、その煩雑さは克服しなければならない課題として残った。リアルな造形と自由かつ簡便な展開方法を両立させる手段については、未だに納得する回答が見つからず、今回は見送りとした。
文:松原且明 2024年6月29日